日本と同様に、アメリカにも高い技術力をもった中小企業が存在します
それら中小企業の中から厳選して抜かれた銘柄で算出される株価指数があります。
その指数を「ラッセル2000」と呼びます。
今回は、このラッセル2000について、情報をまとめていきます。
ラッセル2000とは?
ラッセル2000とは、アメリカの小型株の指標の1つです。
1984年に、アメリカのコンサルティング会社であるラッセルインベストメント社が開発しました。
ラッセル2000は、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場している約5000銘柄の中から、時価総額が1001位~3000位の企業が抽出されて、その銘柄から構成されています。
抽出された企業総数が2000銘柄であることから、「ラッセル2000」と呼ばれています。
ちなみに、ラッセルの指数は他にも「ラッセル1000」「ラッセル3000」と呼ばれるインデックスもあります。
ラッセル1000は、時価総額1位~1000位までの企業を抽出して構成されています。ラッセル1000は大型株中心の株価指数と言えますね。
ラッセル3000は、時価総額1位~3000位までの企業を抽出して、構成されています。
ラッセル3000の場合、公正銘柄は大型株と小型株の混合となります。
ラッセル3000は、アメリカの株式市場の時価総額の約95%をカバーしています。よって、ラッセル3000を見ておけば、アメリカの株式市場全体の動向を把握できると言えますね。
これに対して、ラッセル2000は株式市場の時価総額全体の10%をカバーしています。ラッセル2000は、時価総額が高い企業銘柄を排除しているため、中小企業の動向を探るには最適の株価指数です。
ラッセル2000の特徴
ラッセル2000は「暴落の先行指標」であると言われています。
ラッセル2000は、小型株を中心に構成された株価指数です。
そのため、ラッセル2000の動向を見れば、大企業の売動向を排除したアメリカ経済の動きを見ることができます。
ラッセル2000が下落傾向にある場合は、アメリカの中小企業の業績があまり良くないことが読み取れます。
中小企業は、大企業と比べて規模が小さかったり、資金が少ないなど、経営基盤が弱いケースが多いです。
中小企業が倒産すると、部品などを購入している大企業の業績にも影響を与えます。
日本企業と同じように、アメリカでも中小企業へ下請けをしている大企業もあるため、大ダメージを受ける企業もでてきます。
終いにはラッセル1000に組み込まれている大型株の株価が暴落してしまう可能性が浮上します。
この流れを踏まえて、ラッセル2000は「暴落の先行指標」と呼ばれています。
ラッセル2000の推移を観察するだけでも、アメリカ国内の経済状態を読み取れるので、是非注目してみてください。
ラッセル2000の構成企業
ラッセル2000を構成している企業は、中小企業が大半です。日本での知名度は高くない企業がほとんどですが、クオリテティの高い製品、サービスを提供している企業が多いですね。
以下、ラッセル2000の代表銘柄を紹介していきます。
ブループリント・メディスン(Blueprint Medicines Corporation)
ブループリントメディスンは、医薬品を製造、開発している企業です。
バイオベンチャーの代表的な企業で、最新の医薬品を提供する事業に注力しています。
近年は、他のバイオベンチャーとの競争が激しくなり、株価は緩やかな下降を続けています。
アメリカが医療先進国である理由は、このようなバイオベンチャーがあるからといっても過言でないです。
カーペンター・テクノロジー(Carpennter Technology Corporation)
カーペンター・テクノロジーは、特殊金属の製造、加工、販売を手掛ける企業です。
チタンやニッケル、コバルトなどの特殊合金や軟磁性用途向けに使われる合金など、高い技術力が要される金属加工を強みとしています。
近年は高級宇宙産業、防衛産業向けにも合金開発、製造を行っています。
これを踏まえて、株価も緩やかに上昇していますね。
アメリカの製造業と聞くと、日本と比べてあまり繊細でないイメージを抱く方が多いかもしれませんが、それを払拭するほどの技術力を持った企業も存在します。
高い技術力をもった企業は、長期投資には打ってつけの銘柄ですね。
ハーキュリーズ・キャピタル(Hercules Capital, Inc)
ハーキュリーズ・キャピタルは、バイオテクノロジー、再生可能エネルギーなどの技術関連企業を中心に投資、支援を行うベンチャーキャピタルです。
ベンチャーキャピタルという性質上、業績の変動が大きいため、短期的には株価も上昇・下降が激しいです。
日本では、そもそも個人のビジネス創出がそこまで盛んでなかったため、ベンチャーキャピタルはそこまで浸透しませんでした。
最近になってようやくベンチャーキャピタルの数も増えましたが、起業大国アメリカには及ばないレベルです。
ハーキュリーズのように、中小企業への投資を積極的に行うベンチャーキャピタルが、アメリカには多く存在します。
まとめ
ラッセル2000は米国株式市場の小型株から算出された指標です。
ラッセル2000の動向を見ることで、アメリカ経済の先行きをある程度予測することができます。
大企業の業績が悪化する前に、中小企業の業績が前触れとして悪化する傾向があるため、この変化をラッセル2000が反映してくれるのです。
ラッセル2000に含まれる企業は、小型ながらも特徴の強い企業が多いです。
今後のアメリカ経済の発展を支える企業になってくるので、要注目ですよ。